本コラムは、弊社取締役の上野が執筆をしております。
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JEPX東京エリアのスポット価格は、2026年4月に価格上昇と荒い値動きが目立ちました。
市場参加者にとって実務上、より重要なのは、平均価格に加えて、短時間で価格が急騰する「高値コマ」がどの程度増えたかです。高値コマの増加は、調達戦略やインバランスリスク管理に大きく影響します。今回は東京エリアのデータをもとに、2026年4月に高値コマが増えた背景を整理します。
目次
4月は平均価格上昇に加え、価格変動幅も拡大
図1の通り、東京エリアスポット価格は、2026年4月に全体として上方シフトしました。
平均価格は3月14.4円/kWhに対し、4月は20.2円/kWhへ上昇しています。さらに、価格の幅そのものが広がっています。
高値側の伸びが目立ち、単なる平均価格上昇ではなく、高値コマが増えやすい市場環境だったことが分かります。
4月は「高く、かつ荒れやすい月」でした。

高値コマは夕方帯を中心に増加
図2は30分コマ別の月平均価格です。
例年、3月から4月の春季は需給が緩み、価格は低位で推移しやすい時期です。
一方、2026年4月は中東情勢等による燃料価格上昇も背景にあり、全時間帯で3月および前年同月を上回りました。
特に夕方から夜間にかけて上昇幅が大きく、18時台には30円/kWh超の水準となっています。

高値コマのパターンは夕方一辺倒ではない
図3は2026年4月の高値上位3日を抽出したものです。この価格推移を見ると、高値コマの発生形態は一様ではありません。
• 4月2日:朝・昼・夜に複数回スパイクする多峰型
• 4月10日:終日高値圏で推移する安定高値型
「夕方に一度跳ねるだけ」ではなく、時間帯を変えながら複数回スパイクする日も確認されます。
2026年4月は、価格急騰の発生パターン自体が多様化していたことがうかがえます。

統計的にみるスパイク増加の二因子構造
図4では、価格、総需要、太陽光発電量、残余需要、時間帯要因など複数データをもとに因子分析を行い、2026年4月東京市場の価格変動を主な要因に分けて整理しました。
残余需要、総需要、価格、夕方時間帯との関連が強く、需給がタイトになる局面で価格上昇につながりやすい要素です。
• 太陽光価格押下げ効果
太陽光発電量、昼間時間帯との関連が強く、昼間の太陽光発電が価格を押し下げやすい要素です。
すなわち、4月の電力市場では、夕方の需給逼迫圧力に加え、昼間に作用する太陽光による価格押下げ効果が時間帯によって限定されました。
さらに、中東情勢等による燃料価格上昇も背景となり、市場価格のベースライン自体が高かったことで、高値コマが増えたとみられます。

※注:各項目がそれぞれの要因とどの程度関係しているかを示します。
高値日は残余需要が高水準で推移
図5は高値上位3日について、需要から再エネ発電量を差し引いた残余需要の推移を示したものです。

• 4月2日:朝夕二峰性を示す二峰型
• 4月10日:終日高水準で推移する高止まり型
図3の価格形状の違いと需給構造の違いは概ね対応しており、高値コマ増加の背後には、残余需要の持ち上がりという共通項がうかがえます。
市場制度要因も含め複合的に見る必要
市場関係者の間では、ブロック入札の影響、東電EPとJERAの相対契約終了、中東情勢など、複数の要因が重なり、価格が跳ねやすい構造になっていることが指摘されています。
今回の分析から追加的に確認できるのは、4月の東京エリア市場価格の高値日やスパイク増加が、
・残余需要の持ち上がり
・天候等による太陽光発電量の低下
・夕方時間帯への価格集中度の高まり
・市場構造(流動性や入札行動)
・燃料価格・地政学要因を含む外部環境
など複数要因の重なりとして理解する方が、より実態に近いとみられます。
まとめ
今後の東京エリア市場価格を見るうえでは、平均価格だけでなく、高値コマの発生時間帯・頻度・スパイクの起こりやすさという質的変化に注目する必要があります。
出典:JEPXスポット市場公開データ、一般送配電事業者需給実績公表値、各種公開情報をもとに筆者作成

代表取締役社長 高橋 優人
新卒で九州電力に入社し、約7年間在籍。在籍時は、電力の法人営業、ガスの個人営業等に従事。その後、エネルギーベンチャー企業を経て、日本電力調達ソリューションに参画。2024年9月に代表取締役社長に就任。















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