本コラムは、弊社顧問の鈴木が執筆をしております。
〇経産省(エネ庁)で議論されてきた標記の件について、先日(3/17)WGのとりまとめが行われました。
具体的には、小売電気事業者に対し、実需給の3年度前に需要の5割、1年度前には需要の7割に相当する量の供給力(kWh)の確保(販売電力量が5億kWhを下回る事業者の場合は、3年度前に2.5割、1年度前に5割)を求めることを基本に今後詳細設計が行われるとのことです。
〇本件は、2022年の燃料価格の価格高騰を背景に卸電力市場価格が高騰し、小売電気事業者の退出が相次ぎ、顧客に契約解除や最終保障供給への移行を強いるなど、大きな混乱が生じたため、小売事業者にスポット市場以外での量的な供給力の確保を求めることにより混乱の再発を回避しようという目的で検討が行われたものです。
〇確かに、当時の混乱に鑑みると、需要家保護の観点から小売電気事業者にも供給責任を促すこと自体は大事な視点と思われますが、何か違和感が残ります。
2022年の混乱(小売電気事業者の事業撤退、顧客切り等)は、仕入(電源調達費)の急騰と売値(電気料金収入)のギャップにより小売電気事業者の経営が急激に悪化したことが主な要因であり、スポット市場以外での供給力確保の問題だったのかという違和感です。
スポット市場への依存度の高い事業者の撤退が多かったことは事実と思われるが、自前の電源を持っているとか相対契約での電源調達先のある小売事業者(旧一般電気事業者の小売部門を含む)も、燃料価格の高騰や燃料費調整の上限設定等により収支が悪化し、経営破綻や事業撤退には至らずとも大幅値上げを余儀なくされ、結果として顧客に応じてもらえなければやむを得ず契約の解除に至るなど、経営努力の限界を超える事態だったのではないかと思います。
〇こうした事態は小売電気事業者がスポット市場以外での量的供給力を確保しているか否かにかかわらず、国際情勢等により燃料価格の高騰・長期化や国全体の燃料確保不安などが起これば、同様の混乱が再発しうるのではないかと考えていたところ、今回の中東情勢によって再び混乱が起こりつつある。
既に多くの小売電気事業者が、高圧・特高を中心に新規受付を停止する動きになっているようです。
〇そもそも、小売電気事業者が供給力確保を図ろうとしても、上流の発電側の供給力が全体として不足すれば小売側では確保困難な事業者が生じえます。
2000年の電力自由化開始以来これまでは国全体の電力需要が横這いないし減少傾向で推移してきたが、今後は増加に転じていくと予測される中で、供給不安や料金高騰を極力回避するためには、国全体の供給力確保策や、海外に依存する燃料価格の安定化策が肝要であり、政策目的に沿った実際にワークする制度の詳細検討が待たれます。

代表取締役社長 高橋 優人
新卒で九州電力に入社し、約7年間在籍。在籍時は、電力の法人営業、ガスの個人営業等に従事。その後、エネルギーベンチャー企業を経て、日本電力調達ソリューションに参画。2024年9月に代表取締役社長に就任。
















コメント