本コラムは、弊社取締役の上野が執筆をしております。
本日をもって卸電力市場の年度(FY2025)が締まりました。
本稿では、JEPXスポット価格について、東京エリアを例にFY2024との比較で振り返ります。
単年度のデータでは構造は見えにくいため、前年との相対比較により市場の状態を総括します。
時間帯構造:形は維持、水準は低下
まず、30分コマ(48コマ)の平均価格を比較すると、以下が確認できます。
・昼間の再エネ発電時に沈み込み、夕方の需要増加局面で立ち上がるダックカーブ構造は維持
・一方で、全時間帯でFY2025は平均水準がFY2024より低下(点線)
すなわち、
構造は変わっていない一方で、価格水準のみが低下している
状態です。

スプレッド:収益を取りにくい局面もあるが、機会は残る
次に、日次ベースで「上位6コマ−下位6コマ」のスプレッドを算出し、月平均で比較します(容量市場の発動指令や需給調整市場入札などにおいて3時間単位の取引が多いことを踏まえ、6コマ(30分×6)を採用)。
・夏場は引き続きスプレッドが大きい
・秋〜冬にかけてFY2025はFY2024より低下
・特に11〜12月は顕著にスプレッドが縮小
ここから、
水準低下に加え、スプレッドも一部で縮小しており、収益を取りにくくなっている局面が存在する
一方で、
スプレッド自体は一定水準を維持しており、市場は依然として収益機会を内包している
と言えます。

価格分布:市場の状態を俯瞰する
価格分布で見ると、より本質が明確になります。
・FY2025は分布全体がFY2024より左にシフト(=価格低下)
・分布の形状自体は大きく変化していない
・分布の裾は維持されており、高価格帯の発生余地は残っている
すなわち、
市場構造は維持されたまま、価格水準のみが低下している
状態です。
(※視認性の観点から高価格帯の極端値は表示範囲から除外)

まとめ:FY2025のJEPXスポットはどういう市場だったか
本稿の3つの視点をまとめると、
・構造(時間帯)は維持
・価格水準はFY2024より低下
・スプレッドは一部でFY2024より縮小
・それでも収益機会は残存
すなわち、
安くなったが、収益を取りにくくなった局面もあり、それでもなお収益を取りにいける市場
と整理できます。

代表取締役社長 高橋 優人
新卒で九州電力に入社し、約7年間在籍。在籍時は、電力の法人営業、ガスの個人営業等に従事。その後、エネルギーベンチャー企業を経て、日本電力調達ソリューションに参画。2024年9月に代表取締役社長に就任。













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