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2026.11.04

電力会社の調達力は、電源構成だけでは見抜けない

高橋 優人
執筆:高橋 優人(代表取締役社長)
九州電力出身|電力の法人営業を経験

足元では、法人向け電気料金の値上げが続いています。

弊社でも日々、多くの電力会社から見積もりを取得していますが、各社の新規提案価格は、以前と比較してかなり上昇している印象です。

特に、固定単価での契約を希望されるお客様にとっては、厳しい状況が続いています。

しかし、そのような環境下でも、弊社では一部の電力会社から、競争力のある価格でのご提案ができています。

なぜ、同じ電力市場の環境にありながら、これほど価格に差が生まれるのでしょうか。

その理由の一つが、電力会社の「調達ポジション」にあります。

例えば、自社電源や長期の相対契約などによって、将来にわたって必要な電力量を確保している電力会社があります。

いわゆる、ロングポジションの電源を持っている会社です。

こうした電力会社は、足元の卸電力市場価格が上昇していても、過去に確保した電源を活用することで、競争力のある価格を提示できる場合があります。

一方で、卸電力市場以外から調達しているからといって、必ずしも安価な電源を確保できているとは限りません。

例えば、相対契約で電力を調達していたとしても、それが短期契約であれば、契約更新時には足元の市場価格の影響を大きく受けることになります。

結果として、卸電力市場から直接調達する場合と、それほど変わらない価格水準になることもあります。

つまり、重要なのは、「どこから電気を仕入れているか」だけではなく、「いつ、どのような条件で、どれだけの期間、電源を確保しているか」ということです。

ここで一つ、難しい問題があります。

それは、電力会社が公表している電源構成を確認するだけでは、こうした調達の実態までは把握できないということです。

仮に、同じような電源構成の電力会社が2社あったとしても、調達時期や契約期間、価格条件、将来の販売量に対する電源確保状況が異なれば、提案できる価格には大きな差が生まれます。

そして、こうした情報の多くは、一般には公開されていません。

だからこそ、各電力会社の調達方針や価格動向を継続的に把握し、その背景まで理解することが重要だと考えています。

もちろん、ロングポジションの電源を持っていれば、必ず安価な提案ができるというわけではありません。電源の取得価格や販売方針、リスク管理の考え方によっても状況は異なります。

しかし、少なくとも、目の前に提示された見積価格だけを比較していては、その電力会社の本当の競争力を理解することは難しいのです。

電力調達は、単に複数の電力会社から見積もりを取得し、最も安い会社を選べばよいというものではありません。

なぜ、その電力会社は安いのか。

なぜ、別の電力会社は高いのか。

そして、その価格競争力は今後も続く可能性があるのか。

こうした背景まで理解したうえで、お客様に最適な選択肢をご提案することが、私たち電力調達の専門家の役割だと考えています。

電力会社の調達力は、電源構成だけでは見抜けません。

だからこそ、表面的な価格比較にとどまらず、その一歩先まで踏み込んだご提案を、これからも大切にしていきたいと思います。