中部電力が料金改定を発表──ヘンリーハブ調整導入、燃調制度の全面見直し。過去最大級の変更へ

日本電力調達ソリューション代表の高橋優人です。
こちらでは、私がお客様とやりとりさせていただく中で気づいたこと、ニュース記事を見て学んだこと等をリアルタイムで発信しています。
読んでくださる方にとって、有益な情報になっていれば幸いです。

中部電力が料金改定を発表

中部電力ミライズが2026年4月以降の料金改定の詳細を公表しました。今回の改定は、これまでの料金改定と比べても“構造そのものを作り変えるレベルの大きな変更” です。
https://miraiz.chuden.co.jp/info/press/__icsFiles/afieldfile/2025/11/27/release_att_20251127_2.pdf

特に重要なのは以下の3点です。

①電力量料金単価の見直し

今回、中部電力ミライズは「燃料費調整制度の変更」を受けて、電力量料金単価そのものを見直すと発表しました。

▼ポイント
・燃料費等調整制度を変更
・燃料費等調整制度変更に伴い、電力量料金単価は引き下げ
・結果として、見直し前後の12月分は同水準になるように設定
・2026年4月以降は、新制度の燃料費調整単価に応じて変動

図の通り、

単価が“見かけ上”下がるわけではなく、制度変更分を単価に吸収する構造になります。

②「ヘンリーハブ(HH)」が新たに燃料費調整の指標に

今回の最大のインパクトはこれです。
中部電力は、燃料費調整制度にアメリカの天然ガス価格“ヘンリーハブ(HH)”の変動を反映する部分を新設しました。

▼従来の燃調:
LNGや石炭・原油の調達指標
日本の入札・契約ベースの価格を反映

▼今回の改定:
HH価格を新たな要素として加える
「基準HH単価」「基準輸送調整単価」「基準為替レート」などの算定式を導入
為替変動もより強く反映される

これにより、“北米ガス価格+ドル円”の影響が、中部電力の燃調に直接影響する新しい時代に入ります。

特に、
・ドル円が動く時期
・HH価格が急騰する時期
では、燃調単価の振れ幅が大きくなる可能性があります。

③燃料費調整制度の算定元が全面的に変更

公表資料の赤枠部分の通り、基準燃料価格・基準HH単価・基準輸送費・基準為替レートなど、算定元の多くが全面改定されました。

例えば:
▼主な見直し内容
基準燃料価格:42,000円/kL → 52,900円/kLへ
基準HH単価:新設(2.867$/MMBtu)
基準為替レート:147.60円/$(固定設定)
LNG α値、石炭 γ値 などの計算式も変更

調整幅が大きくなったことで、“燃調が上がるときは大きく上がり、下がるときは大きく下がる”設計になっています。

JEPSとしての見解:今回の改定は「構造的な変化」

今回の中部電力の内容は、単なる値上げ・値下げのレベルではありません。

▼ JEPSとしての評価
・燃料調達の国際化が一段進んだドル円と北米ガスが電気料金に直結する時代に突入
・変動リスクは従来よりも明確に大きい
・電力量料金の“実質再設計”に近い改定

この構造を見る限り、2026年度以降は価格変動が読みづらい(=リスク管理が重要)という印象です。

まとめ:2026年度の電気料金は“制度変更の年”

中部電力の改定は、2026年度の電気料金が「全く新しいロジック」で動くことを示しています。

・燃調制度の抜本見直し
・ヘンリーハブの導入
・為替レートの固定設定
・電力量料金の構造変更

これらが同時に重なるのは非常に珍しく、電力料金の予測・最適化が例年以上に難しくなる1年と言えるでしょう。
JEPSとしては、今回の改定を踏まえ

・2026年度の予算作成支援
・燃調リスク分析
・料金メニュー見直し提案
・料金シミュレーション

を順次進めてまいります。

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