本コラムは、弊社取締役の上野が執筆をしております。
4月1日〜3日にかけて、JEPXスポット市場では一部時間帯で40円/kWh台を付けるなど、価格水準が急激に切り上がりました。
一見すると需給逼迫を想起させる動きですが、本稿では足元のデータをもとに、今回の上昇がどの要因によるものかを構造的に整理します。
足元の価格動向:水準の切り上がり

東京エリアのスポット市場価格は、2月以降、日次では変動しつつも、7日移動平均では明確な上昇トレンドを示しています。
特に3月後半以降、価格水準そのものが切り上がっており、4月初頭の急騰はこの流れの延長線上に位置付けられます。
燃料価格の時間差構造

過去データの分析から、燃料価格の変化は電力市場価格に即座に反映されるのではなく、一定の時間差を伴って現れることが確認されます。
具体的には、
・LNG:約1週間
・石炭:約2週間
・原油:約1か月
の遅れで影響しており、電力市場価格は異なる時間スケールの要因の重ね合わせとして形成されています。
特にLNGは短期の電力市場価格への影響が大きく、足元の価格上昇とも整合的です。
フォワードカーブ:市場の織り込み

東京ベースロード電力先物のフォワードカーブを見ると、
・足元の価格水準と整合
・夏季に向けて高めの水準を維持
・その後緩やかに低下
という形状となっています。
重要なのは、フォワードカーブ全体が上方シフトしている点であり、市場が現在の価格水準を一時的ではなく、一定程度持続するものとして織り込んでいることが示唆されます。
需給の確認:予備率は十分

4月2日、3日の東京エリアにおける広域予備率を見ると、
・常時10%以上を維持
・3%(需給逼迫局面)、8%(注意局面)水準を大きく上回る
状態となっています。
すなわち、需給逼迫が価格上昇の主因とは考えにくい状況です。
結論
以上を統合すると、今回の価格上昇は以下のように整理できます:
・短期需給:逼迫なし
・燃料:LNGを中心に時間差を伴って影響
・市場:フォワードカーブが水準を裏付け
したがって、今回の価格上昇は需給逼迫によるものとは考えにくく、燃料価格の上昇が時間差を伴って反映されてきていると整合的に説明することが可能です。

代表取締役社長 高橋 優人
新卒で九州電力に入社し、約7年間在籍。在籍時は、電力の法人営業、ガスの個人営業等に従事。その後、エネルギーベンチャー企業を経て、日本電力調達ソリューションに参画。2024年9月に代表取締役社長に就任。

















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