日本電力調達ソリューション代表の高橋優人です。
こちらでは、私がお客様とやりとりさせていただく中で気づいたこと、ニュース記事を見て学んだこと等をリアルタイムで発信しています。
読んでくださる方にとって、有益な情報になっていれば幸いです。
法人のお客様から必ずいただくご質問のひとつに、「同じ物件なのに、電力会社ごとで見積単価が全然違うのはなぜですか?」というものがあります。
また、お客様の中には、
「直販のほうが安いのでは?」
「仲介を入れると高くなるのでは?」
と考える方もいらっしゃいます。
しかし結論はこうです。
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目次
直販と仲介、どちらが安いかは“ケースバイケース”
・変わらない場合もある
・直販が安い場合もある
・直販のほうが高い場合もある
つまり、“販売チャネルだけでは価格は決まらない”ということです。
さらに実務的にはもう一つ重要な真実があります。
直販営業より“売れる仲介会社”のほうが価格交渉力が強いケースは普通にある
電力会社にとって、大口顧客を多く持ち、継続的に案件を供給してくれる仲介会社は、直販よりも重要な販売チャネル になることがあります。
そのため、
よく売る仲介には、直販より良い価格を出す
という現象が普通に起こります。
電力会社の視点では、「この仲介には今後も案件をもらいたい」と考えるため、“条件を頑張る理由” が明確に存在する のです。
日本電力調達ソリューションが価格交渉で強い理由もまさにここにあります。
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ここからは、「そもそも見積単価はどうやって決まるのか?」その構造を分かりやすく解説します。
タイミングで変わる(市場・季節・年度事情)
見積単価に最も影響するのはタイミング です。
電力会社の仕入れである JEPX 市場や燃料価格が上がれば、見積は当然上がります。
下がれば、見積も下がりやすくなります。相対電源を持っている会社でも、一部は、市場調達を入れています。また、市場下落のタイミングでは、あえて市場調達の割合を増やし、お客様への提供価格を下げることもあります。
よくあるケースは下記です。
・年度末は「追い込み価格」が出ることもある
・市場の見通しが下落傾向のタイミングでは、価格が安い見積もりも出る
同じ物件でも 1ヶ月違うだけで、年間数百万円変わることも珍しくありません。
調達電源が“余っている”ときは見積が安くなる
これは一般には知られていませんが、実務では非常に重要です。
電力会社は発電事業者(IPPなど)から電気を仕入れていますが、
・需要予測が外れた
・大口顧客の離脱により、電気が余っている
・量を出さないと、来年度の発電事業者との契約に影響が出る
などの理由で、“捌きたい電気” が発生する ことがあります。
▼そのとき何が起きるか?
→ 見積が通常より安い水準で出る。
これはまさに、スーパーで売れ残りのお惣菜に値引きシールが貼られるのと同じ現象 です。
電気にも“余り”があるため、電力会社は「少し安くても契約して流したい」タイミングが存在します。
日本電力調達ソリューションは複数社の動きを日々見ているため、この“値下げシールの瞬間”を捉えることが可能です。
担当者の粗利目標(社内事情で価格が変動する)
一般的に電力会社の営業マンには、
・kWhやkWの目標
・粗利も目標
・部署の目標
が設定されています。
そのため、
・担当者が月末に未達なら、値下げ裁量が使われやすい
・逆に既に達成していたら、無理に値下げをすることなく、適正な価格で販売する
実務では このような理由で価格が動くことは日常です。
※なお、過度な値下げを行うと、市場高騰時の値上げリスクも上がります。
他商材とのセット販売
法人の電気見積では、以下が“セット”になることで、安く提案できる場合もあります。
特にその会社の本業の方で、大きな売り上げが見込める場合、電気を格安で提供することも、珍しくありません。
・ガス
・太陽光PPA
・蓄電池
・省エネ設備
・通信
・主任技術者 等
何か他の商材も購入を検討されている場合は、電気とセットで購入できないかを検討してもよいかもしれません。
電力会社ごとに「得意分野」が異なる(ポートフォリオの違い)
・夜間電源に強い会社
⇒工場、ホテル、病院等と相性がいいです。
・昼ピークに強い会社
⇒オフィスビル、学校等と相性がいいです。
会社ごとに調達ポートフォリオが違うため、見積には1.0円/kWh以上の差が出ることがあります。
まとめ:価格は「チャネル」ではなく「構造」で決まる
最も本質的な式はこれです。
電力価格 = 市場環境 + 調達事情 + 営業タイミング + 担当者裁量
日本電力調達ソリューションでは、まさにこの構造を踏まえ、複数社から“その時点で最適な条件”を引き出すことで、年間数百万〜数千万円の削減につなげています。
















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