日本電力調達ソリューション代表の高橋優人です。
こちらでは、私がお客様とやりとりさせていただく中で気づいたこと、ニュース記事を見て学んだこと等をリアルタイムで発信しています。
そのため、私の主観が入っておりますこと、ご容赦ください。読んでくださる方にとって、有益な情報になっていれば幸いです。
経済産業省が10月31日に公表した「2026年度の電力需給見通し」によると、東京エリアの8月予備率はわずか0.9%と、安定供給の目安である3%を大きく下回る見通しです。
この数値は、昨年(2025年8月)の7.2%から6.3ポイント低下しており、経産省は「非常に厳しい見通し」と明記しています。
1. 経産省が示す「非常に厳しい」見通し
経産省の資料(資源エネルギー庁 需給検証報告書)では次のように記されています:
「2026年度は、発電所の長期補修停止や休止等が重なることにより、夏季の一部エリアで安定供給に必要な予備率3%を下回り、非常に厳しい見通し。」東京エリアでは7月2.1% → 8月0.9% → 9月2.7%と、真夏の8月に極端な需給逼迫が予測されています。


2. 火力発電の補修集中で256万kWの供給減少
経産省資料では、複数の大型火力発電所(約200万kW)とその他火力(約50万kW)の休止が主要因と分析。その結果、東京エリアの供給力は前年(2025年)比で256万kW減少。
3. 東京の需要増も影響、予備率0.9%に
2026年8月は、**供給力の減少(▲256万kW)に加え、需要の増加(+129万kW)が重なり、結果として、8月の予備率は前年6.3%減の0.9%**に。経産省は「準備中の追加対策を講じなければ、需給バランスが崩れるリスクがある」としています。

4. 経産省の対応方針:節電要請の可能性も
現時点では、他エリアからの融通や一部火力の稼働率向上によって、最終的には3%以上を確保できる見込みとしていますが、補修が長引いた場合やトラブル発生時には、節電要請を含む緊急対応を実施する可能性を示唆。
5. 企業に求められる“自衛的な電力マネジメント”
電力不足のリスクは社会全体の問題でありながら、企業にとっても直接的なコスト・供給リスクとなります。
今後の対策としては、次のような取り組みが重要です。
• 契約メニューの見直し(固定化や価格上限キャンプ)
• 需要ピーク時の負荷抑制(デマンドレスポンス)
• 自家消費型再エネ・蓄電池導入によるピークカット
特に2026年度は、容量拠出金増額や東京電力エナジーパートナー(東電EP)の旧標準メニュー廃止等導入など、制度面でも変化が大きい1年です。早め早めの行動をおすすめいたします。
6. 日本電力調達ソリューションの視点
当社では、法人のお客様向けに電力コストの最適化、高騰時のリスクヘッジ等をサポートしています。電力のひっ迫が懸念される今こそ、コストだけでなく安定供給も見据えた調達戦略が求められます。
市場連動をお使いのお客様は、固定化や価格の上限キャップを付けるなどを検討された方が良いかもしれません。あるいは、電源を持っている小売電力会社との契約を行うことで、急な電気料金高騰を回避できる可能性が高まります。当社は、最新の需給データをもとに、企業の電力コスト最適化を伴走支援いたします。
まとめ
2026年夏、東京の予備率0.9%という数値は、単なる統計ではなく、電力インフラの警鐘といえます。エネルギーリスクは経営リスクでもあります。この冬のうちに、契約見直しや予算策定の検討を進めておくことが、来夏の備えとなるでしょう。

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出典:経済産業省「2026年度の電力需給見通し」(資源エネルギー庁 需給検証報告書/2025年10月31日)
https://www.meti.go.jp/shingikai/enecho/denryoku_gas/jisedai_kiban/pdf/003_03_00.pdf
参考:日本経済新聞「来夏は首都圏などで節電要請の可能性」(2025年10月31日)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA314R00R31C25A0000000/
    
     
    
   
   
   
   
   
   
   
      
      
      
      
      
      
   
   
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